【腹が減っては戦はできぬ】
《 使徒の働き 27章23-34節 》
パウロたち一行の乗った船は、クレタ島の南でユーラクロンという暴風に出会い、14日間も海を漂流しました。
漂流中の不安と船が沈没するかもしれないという恐怖は、どれほどのものであったか想像もつきません。
当時の船は、もちろんエンジンなどありません。方向を変える舵が船屋に備えつけられ、甲板にマストが1本立てられているだけ。
ほとんど風に吹き流されて進む程度の乗り物で、暴風や突風の時は、ほぼ漂流しているようなものでした。
長く続く暴風に、船に乗り合わせた人々は死をも覚悟したことでしょう。
でもパウロには、「ここで死ぬはずがない」という確信がありました。
彼がローマへ行って皇帝に十字架の福音を語るのは、神の〝みこころ〟であり、ご計画だったからです。
そのためパウロは安全にローマへたどり着くという確信がありました。
漂流から14日目の夜、水夫たちは船が陸に近寄っていることを悟り、座礁と沈没を恐れて船を捨てて逃げ出そうと考えます。
このことをいち早く察知したパウロは、百人隊長に「水夫が船を離れたら沈没する」と進言します。
これを聞いて百人隊長は、兵士に救命ボートをつなぐ綱を断ち切らせて、全員を船にとどまらせました。
そしてパウロは、船にいた全員に食事をとることを進めます。
パウロはこの時、信仰によって神が必ず守ってくださることを信じ、冷静に行動しました。
しかしパウロだけでなく、みなが一丸となって神の助けを求める必要がありました。
人々のなすべき努力が必要なのです。それは乗り合わせた276人全員が冷静になることでした。
腹が減っては戦はできぬ。
食事をし、冷静になって、生きるために目の前の現実に対応することが大切なのです。