《ヨハネの福音書 2章12-19節》
【初心忘るべからず】
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カペナウムはガリラヤ湖北岸の町、カナはガリラヤ湖中部から西へ15kmほどにある町でした。
カナの婚礼に招かれたイエス様と弟子たちは、カペナウムへ移動しました。
そして数日滞在すると過ぎ越しの祭りが近づいていたのでエルサレムに上り、エルサレムで過ぎ越しの祭りを祝うことにします。
カペナウムからエルサレムまでは約160km、一週間ほどの旅であったと思われます。
この祭りは、「災いがイスラエルの民の上を過越していく」という意味を持ち、三月下旬から四月上旬にかけて行われます。神がエジプトでご自分の民を奴隷の身分から解放した偉大な業を記念するものです。
過ぎ越しの祭りには、ユダヤ人が世界中からエルサレムの神殿に集まります。
そこへ出向いて神の国の福音を伝えて悔い改めを説く…これがイエス様の目的だったようです。
イエス様は神殿に出向くと、神殿内でいけにえを販売する商売人をご覧になりました。
すると宮から動物を追い出し、両替え人の金を散らし、台を倒して大暴れします。
まるでチンピラのような行動にも思えます。
なぜこのような行動をとったのか。それは、神殿とは本来礼拝の場であり、祈りの場であり、神との交わりを持つ神聖な場所であるにもかかわらず、神の名を利用してその場を金儲けの場にしてしまっていたからです。
「とんでもないことだ!」と怒っておられるのです。
暴れまくるイエス様に人々は「どんなしるしを私たちに見せてくれるのですか?」と言っています。
つまりは「あんた、何様だよ」と言っているのです。
対してイエス様は「神殿を壊してみなさい。私は三日でそれを建てよう」とおっしゃっています。
イエス様の時代の神殿は、バビロンから帰った人々が46年がかりで建て直しました。
イエス様は「信仰は長ければいいというものではない。初心を忘れてはいけない。奴隷生活で苦しかった、助けを求めた時のことを忘れてはいけない。信仰は立派な牛のいけにえを捧げることでも、堅固な建物の中で高貴な衣装でうやうやしく礼拝することでもない。純粋な心の思いである」と言っておられるのです。
信仰を持った時の純粋さを忘れず、初心に返って神様と向き合いましょう。
形式的でおざなりになってしまった信仰も、初心の純粋さを取り戻せば、三日で建て直すことができます。